語学学習をしていると、「これは残しておきたい」と思う文に出会います。自然に聞こえる。覚えたい単語が入っている。あとで本当に使いそうな言い方でもある。そこでノートに写したり、アプリに保存したり、カードにしたりします。
その直感はよいものです。でも、小さな一手が抜けがちです。
写す前に、いったん目を離します。
写すだけだとなめらかすぎる
写すことは、勉強している感じをくれます。文が本やレッスンや字幕から、自分のノートへ移ります。ページは少し埋まり、表現もなくなりません。
でも元の文が目の前にあるあいだ、仕事の多くは目がしています。語順、語尾、助詞、前置詞、句読点を正確に写せても、記憶がそれを持ったとは限りません。
写すことが無駄という意味ではありません。よいノートは役に立ちます。ただ、写すだけだと、その文がまだ一度も試されていないのに、もう覚えたように感じてしまうことがあります。
文はノートにあります。でも、まだ自分の中にはないかもしれません。
目を離すと何が変わるか
元の文を少しだけ隠すと、その文はページを離れ、記憶を通って戻ってこなければなりません。ほんの小さな試みでも、作業は変わります。
なぞっているのではありません。組み直しているのです。
その組み直しは、半分しか見ていなかった部分を見せてくれます。
- 二つの考えをつなぐ小さな言葉
- 自然に見えていた冠詞、助詞、前置詞
- 認識はできても、まだ自分では出せない動詞の形
- 読むとわかるのに、自分で作ると崩れる語順
- 文を自然にやわらかくしていた一言
こういう小さな部分ほど、会話では消えやすいものです。見ればわかるのに、必要なときに取り出しにくい。目を離すことで、保存する前に一度だけ取り出す練習ができます。
習慣の形
やり方は簡単です。短くて、役に立ち、だいたい理解できる文を一つ選びます。一、二回読み、意味を確認します。それから手で隠す、タブを閉じる、ページを少し横に向けるなどして、元の文を見えなくします。
そこで、文を組み直します。
小さな声で言っても、タイプしても、手で書いても構いません。目標は新しい文を作ることではありません。同じ文を、できるだけ思い出して戻すことです。
そのあとで、元の文と比べます。
違いをすべて失敗扱いしなくて大丈夫です。一つの違いが見つかれば十分です。前置詞を落としたかもしれません。動詞の位置が遅れたかもしれません。大きな単語は覚えていたのに、文全体をなめらかにしていた小さな言葉をなくしたかもしれません。
その小さな違いが、今回の学びです。
惜しい間違いを使う
いちばんよい結果は、完璧に思い出すことではない場合があります。惜しい間違いです。
惜しい間違いは、はっきりした境目をくれます。ほとんど出てきたけれど、ここだけ抜けた。 これは「もっと勉強しなきゃ」というぼんやりした感覚よりずっと役に立ちます。どの部分がまだ出せないのかが見えるからです。
文全体が消えてしまうなら、作業を小さくします。前半だけ組み直す。最初だけ見えるようにして、終わりを隠す。次はもっと短い一文を選ぶ。
この練習は、あと少しで届く棚に手を伸ばすような感覚が向いています。壁をよじ登るような負荷はいりません。少しの努力は記憶を助けます。大きすぎる努力は、文を霧にしてしまいます。
宿題にしない
この習慣が効くのは、小さいからです。一分以内で終わるくらいがちょうどよいです。
文が自然に気になったときだけ使います。
- 短い会話の一行
- メッセージの中の役に立つ文
- 字幕で見つけた表現
- 調べた単語の下にある例文
- 先生が直してくれた一文
すべての文にやる必要はありません。それでは読むことが重くなり、聞くことも遅くなります。目的は、もともと保存したかった文の前に、ひとつだけ能動的な瞬間を置くことです。
言語ノートを使っているなら、順番はこうできます。
- 役に立つ文を見る
- 目を離して、記憶から組み直す
- 元の文と比べる
- 直した形を保存する
そうすると、そのノートはただの写しではありません。一度取り出そうとした文になります。
飛ばしていいとき
目を離すことがいつも正解とは限りません。次のようなときは飛ばして構いません。
- 楽しみのために読んでいて、流れを切りたくないとき
- 文が長すぎる、または今のレベルから遠すぎるとき
- 引用、名前、指示など、正確な字句が必要なとき
- リアルタイムの会話中で、練習より注意が大事なとき
- すでに疲れていて、思い出すことが負担になるとき
そういう場面では、そのまま写す、読む、聞くで大丈夫です。役に立つ文すべてを練習に変える必要はありません。
実用ルール
保存した文を使える文に近づけたいなら、たいてい安全な小さな動きはこれです。
保存する前に、一呼吸だけ隠して、組み直す。
写すことは文を保管します。組み直すことは、その文を取り出せるものにし始めます。ページから少し離れた瞬間に、その文は自分のものになり始めます。